ただ一人舞台に立っているだけなのだから
空には雲一つない快晴であり、体が焼けるのが分かるほど暑かった。
公園では誰一人遊んでいない。
きっと、みんなクーラーの効いた家で涼しんでいるのだろう。
そんな事を思いながら私は清楓の家に向かって歩いていた。
「あっ!ヒカリーーv」
急に後ろから誰かに呼ばれて私はビッックリした。
そして後ろを向いて見てみると、そこに黒のワンピースを着て、黒の日傘をさしている清楓がいた。
「清楓、どうしてここにいるの?」
「ヒカリが来る前に飲み物とお菓子でも買ってこようかと思って、コンビに行ってきたの」
そう言う清楓は右手に大きなコンビにの袋を提げていた。
「ゴメンね。なんか気を使わせちゃったみたい」
「いいって、いいって。気にしないで!実言うと私が小腹空いてたの」
そう言って無邪気に笑う清楓を見て、私も自然に顔が笑っていた。
「じゃぁ、家に行こうか?外は暑いし」
「うん」
そして、私たちは清楓の家に向かって歩き出した。
夏休みはどう過ごしてる?などという他愛もない会話をしながら・・・
10分ぐらい歩くと、清楓の家に着いた。
「ちょっと待ってね、今カギ開けるから」
ガチャ ガチャッ
「はい、どうぞ。上がって」
「おじゃましまーす」
清楓が用意してくれたスリッパに履き替えて清楓の部屋に向かった。
ドアを開けると清楓のペットの黒猫、『ジジ』がすり寄って来た。
「ミャ〜〜〜」
「あっ、ジジv久しぶり」
私はジジを抱き上げると、ジジが私の顔を舌で舐めた。
「くすぐったいよ〜」
「ジジってば本当にヒカリのことが大好きだよね。なんか悔しいよ」
そう言って拗ねてる清楓が可愛くて、私は笑ってしまった。
「あっ!笑う事ないじゃない。まっいいや。適当にその辺に座ってね」
「フフフッ。ありがとう」
「さっ、早く夏休みの宿題終わらせちゃおう!あっ、なんか聴く?良い曲があるんだ。私大好きなんだvv」
清楓はニコニコしながらCDをセットして流した。
そして、流れてきた曲は・・・
「・・・これって、ポ○ノの新曲?」
「そうだよ。いい曲だよねvv」
「・・・ヒカリ?どうかしたの??」
清楓は私が今にも泣きそうだったのに気が付いたのか、心配そうに私の顔を覗きこんだ。
「えっ?ごめん・・・。なんか・・・」
「ヒカリ!!どうしたの?何で泣いてるの?」
清楓に言われて初めて気が付いた。
いつの間にか私は泣いていたのだ。
そして清楓は無言のまま私を抱きしめてくれた。
その事がうれしくて余計に涙が溢れてきて、私は清楓に抱きしめられたまま泣いていた・・・。
お兄ちゃん・・・・・出来たら私のことを愛して下さい